腰痛を心理アプローチで治療! 自分でできる認知行動療法

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腰痛を心理アプローチで治療!自分でもできる認知行動療法

最近では精神的な問題と腰痛の関係も、よく知られるようになりました。痛みの感じ方に心理的要素が影響を与えることはよくあります。

極端な場合は「心因性腰痛」といって、腰自体には何の異常もないのに、動けなくなるほどの痛みがおこるケースもあります。このような腰痛を治療するのは、整形外科ではなく、心の問題を取り扱う心療内科や精神科です。

ヘルニアや外傷など、実際に何かの疾患が腰にある人の場合においても、心理アプローチによって腰痛が大きく改善される可能性もあります。そのため、一部の大きな病院では、整形外科と精神科が連携して腰痛の治療にあたるという試みもなされ、一定の効果をあげています。

私自身、痛みと心理面との関わりについては現実の体験で深く実感しました。

今回は、腰痛に「心理アプローチ」が効果がある理由、そして、病院へ行かずに自分で取り組める認知行動療法のやり方などをご紹介します。

痛みに苦しんでいる人は、ぜひ一度目を通してみてほしいなと思います。

【体験談】腰痛を心理アプローチで緩和できた私の事例

【体験談】腰痛を心理アプローチで緩和できた私の事例

幼い頃から様々な不調があり、30代にして高齢者のように……

私は、腰痛に限らず全身に痛みがあります。

幼いころから様々な不調があり、そうとう無理をした時期も長かったので、30代にして、ひざや腰の関節も摩耗し、筋肉は硬化して高齢者のような状態になっています。

以前は、それらを何とか改善しよう、年齢相応になりたいと願ってたくさんの病院、マッサージ、ヨガ、サプリメントや食事療法などを試しまくりましたが、なかなかこれといった効果は得られず絶望感がありました。

痛みを諦めたところから事態が好転!

しかし、結局は、痛みをあきらめそのままの自分を受け入れたところから、事態は好転したのです。つまり、私の腰痛に対しては、理学的な治療でなく「心理的なアプローチ」が効いたのです。

現在も痛みはあり、関節や筋肉の状況も変わっていませんが、積極的治療は何もしていません。ただ、痛みが緩和される自分に合ったストレッチを少ししたり、姿勢に気をつけたり、という日常の工夫はします。

痛みはあっても、大して気にせず生活がおくれるようになってきて、気が付けば痛みそのものが減ってきている感じがします。

痛みへの考え方を変えることで治療効果もアップ

私自身も痛みが強くなって辛かったり、つい周囲の同世代の健康な友人や、ずっと年配なのに元気な人と比べてしまったりして悲しくなったときは、その痛みが発生した過去の苦労を思い返すようにしています。

そうすると、それだけ頑張って生きてきた自分自身と身体がすごく愛しい気持ちになって、痛みもその勲章のような存在に思えます。不思議なことに、その気持ちが湧いてくると痛みはやわらぎます

痛みを敵視し、なんとか追い出そうとしていた頃より、ずっと生活は楽しくなりました。

改善のための運動やヨガを行う際にも、何らかの治療を受ける際にも、痛みへの考え方を変える心理アプローチはとても役立ちます

腰痛への心理アプローチを実践する前の注意点

腰痛への心理アプローチを実践する前の注意点

腰痛の85%は、原因の特定できない慢性化したもので、その場合は心理アプローチが効果を発揮する可能性が高くなります。

しかし一方で、腰痛は、重大な脊椎や神経の損傷、内科疾患によっておこっていることもあります。

腰痛への心理アプローチを実践する前に、病院での検査を一度もしたことが無い人は、大きな病院での検査を受けておくことをおすすめします。

病院で検査を受けた方がいいと考えられる腰痛の症状

下記の症状が出ているときは、重大な脊椎や神経の損傷、内科疾患が、腰痛という形でサインを出している可能性があります。

  • 1週間たっても痛みが良くならない
  • じっと安静にしていても痛い
  • 夜間になると痛む
  • 足がしびれる
  • 足に力が入らなくなった
  • 歩き方がおかしくなった
  • 引きちぎられるような痛みがある
  • 食事や排尿や生理に関連して腰痛が強くなる

そのため、まずは病院で検査を受けましょう。

腰痛で病院に行く時の受診科と受診時の注意点

基本的に腰痛は、整形外科の脊椎専門医が得意としています。

食事や排尿や生理に関連した強い痛みは、内科や泌尿器科や婦人科が専門です。

腰痛の専門的治療が可能な病院情報は、下記のリンクから地域別で確認できるようにしておきましたので参考にしてください。

混んでいる病院だと診察時間があまりとれないことも多いので、自分の気になる症状を先に紙にまとめ、問診票とともに渡すのも有効です。

ただ、重症にあたるようなケースはほんの数パーセントなので、心配し過ぎないようにしましょう。

心理アプローチが腰痛に効果を発揮する理由

心理アプローチが腰痛に効果を発揮する理由

腰痛に対する心理アプローチをする際、「腰痛と精神が関わっているわけがない」とかたくなに思いこんでいると、なかなかその効果は発揮されません。

そこで、心理アプローチを実践する前に、その根拠を知っておく必要があります。

実際に心療内科や精神科で専門的な治療を行うときも、腰痛と精神の関係を理解し「なるほど、そういうこともあるかもしれない」と納得しただけで、薬を使わず腰痛が改善するケースもあります。

体には「痛みを抑えるシステム=疼痛抑制システム」がある!

腰痛の痛みには、3つの種類があります。

1. 炎症による痛み

まずは、炎症による痛みです。

腰周辺の皮膚、筋肉、関節、骨などの組織が、外からの衝撃や圧迫、疲労や無理な姿勢で傷むと、その部位を修復しようとして炎症反応をおこす物質がたくさん出てきます。

その物質を受けると、神経には痛みの信号が伝わります。

この場合の痛みは、「身体のどこかが傷んでいますよ」という大切なサインでもあり、安静にして様子を見ても痛みが軽減しない場合は、病院を受診した方がいい痛みです。

2. 神経の働きの異常による痛み

身体の部位が傷ついて炎症をおこしたわけではなく、神経そのものが傷ついても痛みがおこります。
神経の正常な働きが失われ、異常な興奮をして、本来痛くない刺激までを「痛い」と認識して信号が発信される場合があります。

神経が傷つく原因としては、外からの衝撃や圧迫、ウィルス感染によるもの、年齢を重ねたことによる経年変化などがあります。
治療が可能なものもありますが、基本的には痛みを緩和させるための保存療法が中心となります。

3.痛みを抑えるシステムの低下による痛み

最後は、本来私たちの身体に備わっている痛みを抑えるシステムが低下することでおこる痛みで、精神の問題ともっとも深く関わっているのはこの痛みです。

また、1.と2.の炎症や神経の異常によっておこっている痛みの感じ方に対しても、痛みを抑えるシステムは関係しています。

同じヘルニアでも痛みの感じ方は人によって違う理由

例えば、椎間板ヘルニアが同じようにあったとしても、痛みを感じる人と感じない人がいますよね?

部位や重症度の違いもありますが、それ以上に痛みを抑えるシステムによる痛みの感受性の違いが大きく影響します。

急性の痛みは、身体の危機を私たちに知らせる大切な役割があるので感じないと困りますが、慢性化した疾患による痛みは、ずっと感じ続けていると生活が苦痛になってしまいますよね。

そのため、痛みをある程度ブロックして生活しやすくする天然の鎮痛剤のような痛みを抑えるシステム=『疼痛抑制システム(下行性疼痛抑制系システム)』が、私たちの身体には本来備わっているのです。

疼痛抑制システムが正常に働いていれば、腰痛がおきやすい要因があったとしても、(椎間板ヘルニアがある、腰の角度が悪いなど)痛みに苦しめられる可能性はグッと低くなります。

反対に、疼痛抑制システムが上手く働いていない人は、本来それほど痛みを感じるはずのない状態であっても、強い痛みを感じてしまうことになります。

疼痛抑制システムが働かなくなる原因

疼痛抑制システムは、脳内で産生される脳内伝達物質が深く関係しています。

脳を活性化させるドーパミン、リラックス作用のあるセロトニン、脳内麻薬といわれるエンドルフィンなど、一度くらいはどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。

これらのバランスが崩れれば、疼痛抑制システムも上手く働けなくなります。

その原因としてあげられるのは

  • 精神的ストレス
  • 睡眠不足
  • 過労
  • 考え方のクセ
  • 性格

などです。

心療内科や精神科で使われる薬は、脳内伝達物質のバランスを調整するものが多いので、疼痛抑制システムが働かなくなっている人の腰痛にも効果がある場合があるのです。

また、ストレスを溜めやすい考え方のクセがある人や、怒りっぽい、不安を感じやすいなどの性格傾向を持つ人は、疼痛抑制システムの働きは低く痛みを強く感じやすいと言われています。

腰痛への心理的アプローチは、そのような人にとても有効なのです。

腰痛を感じている割合は30代~40代がトップ

腰の筋肉や関節は、年齢とともに弱くなっていきます。基本的に整形外科関連の疾患は、高齢の人ほどかかっている率は高くなっていき、ひざの痛みなどではそれが特に目立ちます。

しかし、腰痛に関しては、働き盛りの30代、40代の人が一番悩んでいる割合が高いと言われています。

調査をしてみると、家庭や仕事に不満や不安を抱えている人ほど、腰痛が強く長引きやすい傾向にあるそうです。

腰痛は、各種の痛みの中でも、もっとも精神の影響を受けやすい痛みなのです。

腰痛に対する認知行動療法

腰痛に対する認知行動療法

それでは、疼痛抑制システムを上手く働かせ、痛みに生活を振り回されないための心理アプローチ『認知行動療法』についてご説明します。

認知行動療法とは?

認知行動療法とは、精神科医療で様々な疾患の治療に用いられる心理療法です。

自分自身の中のストレスになりやすい思考パターン(物ごとの受け取り方、見かた、考え方)を見つけ、それをいい方向に転換していく認知再構築を行い、現実の行動と結びつけていきます。

うつ病、不安障害、パニック障害などには、薬と同様もしくはそれ以上の効果が認められている方法で、取り入れる病院も増えています。

心因性、疼痛抑制システム低下による腰痛や各種の痛みの改善への効果も認められている
ため、大きな病院では整形外科治療にも用いられています。

認知行動療法のメリット

薬のように副作用の心配もなく、そもそもストレスや痛みを受けにくい思考パターンを身に着けられるため、再発を防ぎ根本的な改善が期待できます。

  • 薬のような副作用が無い
  • ストレスや痛みを受けにくい思考パターンを身に着けられる
  • 再発を防ぎ根本的な改善が期待できる

認知行動療法のデメリット

しかし一方で、健康保険が適応されない自由診療になる場合が多く、受けられる施設は限られています。また、効果が実感できるまでは時間がかかるため、根気よく続けなければならず、本人の高い意識が必要となります。

  • 健康保険が適応されない場合が多い
  • 受けられる施設が限られている
  • 時間がかかり、根気がいる
  • 本人の高い意識が必要

認知行動療法を成功させるカギは「自分で治そう」という姿勢

専門の施設で認知行動療法を受けられるような環境や時間や金銭的な余裕が無い、病院ではなく、日常生活の中で取り入れてみたいという人のために、自分で行えるプチトレーニングをご紹介します。

そもそも認知行動療法は、病院で受ける治療以上に、日常の中で自分がどれだけ意識できるかに成功のカギがある方法です。

医師や心理カウンセラーは、そのためのやり方を教えサポートしてくれる存在にすぎないので、「自分自身で治そう」と積極的に治療に取り組む姿勢がとても大切な治療法です。

そのため、ある程度のコツをつかめば、本格的なやり方は無理でも、そのエッセンスを自分自身で日常に取り入れることが可能になります。

ただ、かなりのうつ傾向や不安状態にある、不眠がひどいなどの症状がある場合は、薬や医師の力を借りなければ難しいので、心療内科や精神科で相談しながら行うことをおすすめします。

自分で行える腰痛への心理アプローチ

自分で行える腰痛への心理アプローチ

痛みへの考え方を振り返ってみましょう

あなたは、「腰痛」「痛み」をどのようにとらえているでしょうか。

例えば、痛みがまったくない状態を0、何もできずに寝たきりになるほどの痛みを10としたときに、いくつくらいの痛みまでなら許せますか?

もしも、0、1、2という低いレベルまでの痛み改善を追い求めているとしたら、その人にとって「3」の痛みは耐えがたいものということになりますね。

しかし、目指しているのが4、5くらいだとしたら「3」の痛みは軽い痛みということになります。

同じ痛みであっても、「まだまだ痛い。もっと良くなりたい」と受け取るか、「この程度の痛みなら日常生活がおくれる。今日は痛みが軽くてありがたい」と受け取るかで、痛みが心に与える負担は大きく変化します。

どちらがストレスを溜めにくいか……はわかりますよね。

痛み改善へのハードルを下げ、昨日と比べて少しでも軽ければそれを喜ぶ気持ちを持ってみましょう。

人と比べていませんか?

腰痛や痛みを評価するときのポイントは、「自分の一番悪かったときと比べる」ことです。

一番痛くて苦しかったときに比べ、今はどの程度軽くなったか、という視点で見ていくようにします。

腰痛の無い健康な人を基準に比べていては、いつまでたっても自分の痛みは「悪い」の評価しかつかず、ますます痛みへの感受性が強くなる悪循環におちいります。

「腰痛」「痛み」を敵視していませんか?

腰痛や痛みがおこっているとき、その痛みへどのような感情を抱いていますか?

  • 「この痛みのせいで生活が苦痛だ」
  • 「この痛みのせいで私は不幸だ」
  • 「この痛みが無ければどれほど素晴らしいだろう」

と、腰痛や痛みを敵視しているとしたら、苦痛はますます強くなります。

実際の損傷があるにせよ、心理的問題が関わっているにせよ、腰痛や痛みは、傷を修復しようとしている炎症反応であったり、あなたに何らかのメッセージをおくったり、心理的な問題から目をそむけさせたりする大切なものでもあります。

まずはその痛みを優しい気持ちで受け止めてみましょう。

  • 「もしかしたら、この痛みは心のストレスを代わってくれているのかもしれない」
  • 「長年使ってきて傷んだ部分が、修復されようとしているのかもしれない」

と考えてみると、なんだか痛みもありがたい存在に思えてきます。

感謝の気持ちは、脳内に痛みを緩和させる物質を増やすと言われています。難しいかもしれませんが、痛みを好意的に受け止める練習をしてみましょう。

客観的な日記をつけてみる

実際の認知行動療法でも行う方法ですが、痛みと日常の行動について、客観的な日記をつけてみましょう。

痛みにとらわれていると、「なぜ痛いか」「どうすれば痛くなくなるか」ということばかりを考えて、ますます痛みを強める結果になっている場合があります。

その日の痛みを数字で評価し、それとは別に、1日の行動を簡単にまとめてみます。

例えば

  • 友人と食事に行った
  • 仕事で少し変わったことがあった
  • 買い物に行って○○を買った

などの具体的な出来事、楽しかったこと、嫌だったことなど、痛みとは離れて記録をつけていきます。

天気や食事内容などを書くのもいいです。

それを客観的に見ていくと、痛みが何らかの出来事や感情に合わせて変化していることに気が付いたり、痛みが強いと感じているときでも思っている以上に色々な行動ができていることに気が付いたり、痛みへの認識が変わっていきます。

「毎日書かなきゃ」と思う必要はありません。
書けるときに書けるだけでいいです。

ただし、地道に続けていくのがポイントです。

これらのことをくり返し意識していくうちに、何らかの変化を感じられると思います。

まとめ

まとめ

医師や治療家さんがよく言う言葉ですが、治療の際に「どうですか?」というのがありますよね。

それに対して、「まだまだ痛いです。全然良くなりません」と言う人と、「おかげ様で、ここの部分は少し楽になりました。あとは、ここの部分がもう少し楽になればいいかなと思います」と言う人とでは、治りの速度が全然違うそうです。

考え方や受け取りのクセを変えるのはかなり大変ですが、意識してくり返し練習していると、必ずどこかで効果が実感できます

痛みの改善だけでなく、人生全体においていい受け取り方ができるようになると、状況は変えられなくともストレスは減らせ、痛みを抑えるシステムを上手に働かせることができます。

ぜひ、試してみてくださいね。

参考書籍 「あなたの腰痛が治らない本当の理由」紺野慎一著

(すきっと編集部/寺山)

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