病院での慢性腰痛の治療方針は?医療現場でつかう『腰痛ガイドライン』簡単解説

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病院での慢性腰痛の治療方針は?医療現場でつかう『腰痛ガイドライン』簡単解説

腰痛が続くとき、まずは病院に行こうと考える人も多いですよね。

けれど、病院での検査は大変だし、薬を使った治療は不安だし…と、なかなか踏み出せないときもあるのではないでしょうか。

そこで今回は、医療現場で共通して使われている『腰痛ガイドライン』の内容を簡単に解説します。現在の病院で、医師がどのような考えで腰痛・慢性腰痛をとらえているかが示されているので、病院に行くときの参考になればと思います。

腰痛の専門家は?

いざ腰痛で病院に行こうと考えても、何科に行ったらいいのかわからない人もいるかもしれません。腰痛の専門家は、整形外科の医師です。『腰痛ガイドライン』も日本整形外科学会がまとめています。腰痛の原因として内臓や神経の病気が考えられる場合には、他の科に紹介されることになります。

個人の診療所と総合病院の整形外科の違い

整形外科には、整形外科を専門に開業している個人の診療所、整形外科を専門にした少し規模の大きな病院、他の科もある大きな総合病院の整形外科がありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。

個人の診療所

メリット…初診でも紹介状や特別な料金は不要
     …大きな病院に比べれば待ち時間が少ない
     …夕方以降や土曜にやっているところも多い
     …受付や会計の手続きが簡単に済む

デメリット…検査設備を備えていないことが多い
      …詳しい検査が必要なときは大きな病院に行き直しになる

中規模の整形外科専門病院

メリット…初診でも紹介状や特別な料金は不要
     …ある程度の検査設備はそろっている

デメリット…初診で行ける時間や曜日が制限されていることがある
      …夕方以降や土曜は休みの病院も多い
      …さらに詳しい検査が必要なら総合病院に行き直しになる

総合病院の整形外科

メリット…検査設備が充実している
     …薬や治療法などの選択肢が広い

デメリット…紹介状がない場合は特別初診料が必要
      …受付や会計の手続きが面倒
      …初診の待ち時間はかなり長い
      …検査には予約が必要なことが多い
      …担当医がコロコロ変わる場合がある

「日本整形外科学会認定の専門医」は病院選びの目安に

どこに整形外科の診療所や病院があるかわからないという場合は、日本整形外科学会のホームページを見てみましょう。その中に、近所の「整形外科専門医」を探せるページがあります。

日本整形外科学会認定の専門医は、一定以上整形外科での経験があり、高度な資格試験に合格した医師に認められます。その後も学会参加や勉強をしないと資格が継続できません。診療所・病院選びに迷ったら、学会が認定した専門医かどうかが1つの目安になります。

病院での慢性腰痛の治療の流れ

病院での慢性腰痛の治療の流れ

注意深い問診と身体のチェック

○重大な病気の疑いがあると医師が判断→画像検査や血液検査で調べる
○緊急性がないと医師が判断→保存療法(痛みを抑える薬や運動など)

検査を行った場合

○原因が特定→専門の科で治療開始
○検査では異常なし→保存療法

保存療法を行った場合

○4~6週間やって効果があったとき→腰痛の再発を防ぐ生活指導
○4~6週間やって効果がなかったとき→詳しい検査や問診で原因を調べる

慢性腰痛で病院に行けば、まず検査をするのかな?と考えますよね。しかし、必ずしもそうではありません。検査は体への影響もあり、お金や時間もかかります。患者さん本人への負担はもちろん、医療費の問題や検査待ちの人を減らす目的もあり、問診で緊急性がないと判断された場合は保存療法で様子をみることになっています。

保存療法の中心は薬物治療

腰痛」は病名ではなく症状です。原因となっている部位がわからないうちは、痛みや炎症を抑える薬、筋肉の緊張をやわらげる薬などを使います。状態によっては、痛んでいる部分を温めたりマッサージや運動をリハビリとして行ったりすることもあります。

主な検査は採血・レントゲン・CT・MRI

整形外科で行う検査は、主に4つです。

○採血

血液をとって検査します。内科の病気が原因となった腰痛や、腫瘍、筋肉の異常などの診断ができます。

○レントゲン

一番簡単な画像診断方法です。骨格の異常、大きな腫瘍、骨折などが診断できます。

○CT

X線を使って体の断面写真をとります。レントゲンより見やすく詳しいチェックができます。

○MRI

磁力を使って体の断面写真をとります。精度が高いですが大がかりな検査設備が必要で、時間もかかります。また、体に金属の入っている人は受けることができません。

○その他

以上の検査で異常が見つかってさらに詳しい判断が必要になったり、異常が見つからないものの重大な病気を疑う症状があったりするときは、筋電図・造影剤CTなど、特殊な検査が行われる場合もあります。

病院ですすめられる慢性腰痛対策

  • 深刻な障害のない慢性腰痛には安静より運動が有効
  • 心理的なアプローチや抗うつ薬が慢性腰痛に効くことがある
  • 職業腰痛は、その内容以上に精神的負担を取り除くことが大切

ひと昔前は、腰痛があるときは安静にし、患部を温めたり電気刺激を与えたりということがすすめられていました。しかし、そのような方法は急性腰痛には有効とされるものの、慢性腰痛にはあまり効果がないという意見が主流になってきました。また、手術に関しても緊急性のあるものをのぞき、できるだけ行わずに様子を見る方針に変化してきています。

その代わり、腰の筋肉をほぐすストレッチや筋肉をきたえる運動を日常にとりいれ、無理のない範囲でできるだけ早く仕事や家事に復帰することがすすめられるようになりました。

さらに、精神科で行う心理的アプローチや抗うつ薬が慢性腰痛を改善するケースも多いとわかり、日頃からストレスと上手く付き合う方法を身につけることが、腰痛対策には有効とされています。

座りっぱなしや重労働でおこる職業腰痛も、労働内容以上に、仕事上での精神的負担の方を原因として重視する見方もあります。

「慢性腰痛」とは?

「慢性腰痛」とは?
普段何気なくつかっている「慢性腰痛」という言葉ですが、具体的にどのような状態をさすのでしょうか。『腰痛ガイドライン』には以下のようにまとめられています。

慢性腰痛とは「痛みが3か月以上続く腰痛」

最初に腰痛を感じてからの期間が4週間未満…急性腰痛
               4週間以上3か月未満…亜急性腰痛
               3か月以上…慢性腰痛

腰痛は「一番下の肋骨(ろっこつ)からお尻の溝の上までにおこった痛み」

一口に腰痛と言っても、痛んでいる部位は人それぞれですよね。背中に近い上部、骨盤周辺、どこまでが「腰痛」?と悩んでしまいそうですが、一応医療上は、一番下の肋骨(ろっこつ=あばら骨)から、お尻の割れ目の上までの範囲におこった痛みをまとめて「腰痛」と呼んでいます。

それより上なら「背部痛」下なら「臀部(でんぶ=お尻)痛」と言われます。

腰痛は原因のわかるものと原因のはっきりしないものがある

病院で診断のつく腰痛の原因

脊椎(せきつい=背骨)の変異
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 分離性脊椎すべり症
  • 変性脊椎すべり症
  • 代謝性疾患(骨粗しょう症、骨軟化症など)
  • 脊椎腫瘍(原発性、転移性腫瘍など)
  • 脊椎感染症(化膿性脊椎炎、脊椎カリエスなど)
  • 脊椎外傷(椎体骨折など)
  • 筋・筋膜性腰痛
  • 腰椎椎間板症
  • 脊柱靭帯骨化症
  • 脊柱変形など
  • 神経の変異
  • 脊髄腫瘍・馬尾腫瘍など
  • 内臓の病気
  • 腎尿路系疾患(腎結石、尿路結石、腎盂腎炎など)
  • 婦人科系疾患(支給内膜症など)
  • その他(腹腔内病変、後腹膜病変など)
  • 血管の病気
  • 腹部大動脈瘤
  • 解離性大動脈瘤など
  • 心因性
  • うつ病、ヒステリーなど

今のところ、病院で診断のつく外科的・内科的・精神科的な病変は上記のようなものがあげられています。これ以外の原因のはっきりしない腰痛は非特異的腰痛と言われ、腰痛を訴える人の85%が非特異的腰痛とされています。脊椎に原因がある腰痛のうち、変異の程度に比べて痛みの度合いが強すぎる場合も非特異的腰痛にあてはまります。

また、心と腰痛の関係が広く知られるようになりましたが、心因性の腰痛の中でうつ病などはっきりとした病名がつくのはごく一部。多くの場合、誰もが抱える日常の意識しないストレスがかかわっています。そのような心因性の腰痛も、非特異的腰痛に分類されています。

まとめ

まとめ 病院での慢性腰痛の治療方針は?
病院での慢性腰痛の治療方針を示した『腰痛ガイドライン』の内容を簡単に解説しました。ひと昔前に比べると薬がだいぶ進歩し、痛みや生活の改善がしやすくなったと言われています。薬の使い方も、できるだけ体への負担を少なくする飲み方を重視するようになりました。

整形外科を受診する際は、症状がいつ始まったか、どんなときにとくに痛むかなどを紙にまとめ、持っていくとスムーズに診察が受けられます。

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