腰痛に効く薬とは?特徴と効果・副作用・注意点のまとめ

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腰痛に効く薬とは?特徴と効果・副作用・注意点のまとめ

腰痛は辛いもの…薬を飲んで楽になるなら。そう思いますよね。

腰痛に効く薬は、主に今おきている痛みに働きかけ、日常生活を過ごしやすくしてくれる薬です。痛みを我慢しすぎると痛みを我慢しすぎると余計状態が悪化するおそれがあるので、辛いときには薬の助けを借りるのも有効な手段と言われています。

腰痛に効く薬にはどのようなものがあるのでしょうか?それぞれの特徴と、効果・副作用、使用上の注意点をまとめました。

腰痛に効く薬とは?

  • 炎症を抑えて痛みをやわらげる薬(内服/坐薬/ぬり薬/はり薬)
  • 中枢神経に働いて痛みをやわらげる薬
  • 痛みを感じる神経の働きを抑える薬
  • 筋肉をリラックスさせる薬
  • 血流をよくする薬
  • 傷ついた神経の興奮をしずめる薬
  • 痛みに敏感になった脳をやわらげる薬
  • ビタミン剤
  • 漢方薬

炎症を抑えて痛みをやわらげる薬

NSAIDS(エヌセイズ)

非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれる薬です。NSAID(エヌセイド)と表記されていることもあります。日本では、腰痛治療にもっともよく使われています。

「非ステロイド性」とは、ステロイド剤という人工ホルモンを使っていない薬という意味です。ステロイド剤は炎症や痛みに優れた効果がありますが副作用も強いため、緊急性のない腰痛の場合はステロイド剤を使っていないNSAIDS(エヌセイズ)での治療がすすめられています。
飲み薬の他、坐薬、ぬり薬、貼り薬があり、状態に応じて使い分けがされています。

○腰痛に効く仕組み

  • 痛みの元である炎症反応をおこす酵素の働きを抑える

腰回りの神経や組織が何らかの刺激を受けると、傷ついた部分を治すために血液を集める酵素が働き、発熱や腫れなどの炎症反応がおこります。そして、痛みを強める作用のあるプロスタグランジンという物質がつくりだされます。
NSAIDSは炎症の元になる酵素と結びついてその働きを抑え、炎症反応や痛みをやわらげます。

○向いている腰痛のタイプ

  • 急性腰痛(ギックリ腰)
  • 飛び出た組織が神経を刺激する椎間板ヘルニアによる腰痛
  • 神経が圧迫される脊柱管狭窄症による腰痛
  • 無理な姿勢による腰痛
  • 負担のかかりすぎで筋肉や周辺組織に炎症がおきた腰痛 
  • 炎症が慢性化したしつこい腰痛
  • 上記の腰痛にともなう坐骨神経痛 など

NSAIDSは炎症反応を抑えることによって腰痛の苦痛をやわらげるので、神経や周辺組織が何らかの刺激を受けて炎症をおこしているタイプの腰痛に効果を発揮します。

○主な副作用

  • 胃腸障害(胃痛、吐き気、下痢など)
  • 口の乾きや不快感
  • 喘息(ぜんそく)発作
  • じんましん
  • 眠気やだるさ
  • 腎機能障害
  • 肝機能障害
  • ショック症状(呼吸困難・気が遠くなるなど)

NSAIDSでもっとも多い副作用は胃腸障害です。最近は胃腸に負担をかけづらいタイプのものが主流ですが、それでも胃腸の不調を感じることがあります。そのため、病院では胃腸薬も同時に処方されるケースが多くなっています。

また、NSAIDSを含む解熱鎮痛剤には敏感な体質の人がいて、喘息(ぜんそく)やじんましんがおこったり、呼吸困難や気が遠くなったりするなどのショック症状がでることがあります。そのときはすぐに飲むのを止め、必ず医師に報告をしましょう。

まれではありますが、腎臓、肝臓、心臓、すい臓などの内臓に影響がでる副作用がおこる可能性もあります。そのため、病院では定期的に副作用のチェックをしています。むくみや動悸など気になる症状がでたときには医師に相談しましょう。

○飲む前にとくに注意が必要な人

  • 胃腸の弱い人
  • 腎臓、肝臓、すい臓、心臓などに持病のある人
  • 喘息(ぜんそく)、アレルギー体質の人
  • 糖尿病の人
  • 他の薬を飲んでいる人
  • 妊娠の可能性のある人
  • 授乳中の人
  • 体力の落ちている人、高齢者
  • 15歳以下の子ども
  • その他、持病や体調に不安のある人

NSAIDSは市販薬としても販売されています。痛みがひどくて動けないときやどうしても用事があってすぐに痛みを楽にしたいときなどは、市販薬が役に立ちます。しかし、市販薬とはいっても副作用の可能性はあり、持病のある人や妊娠・授乳中の人、15歳以下の子どもには飲用が禁止されているものもあります。

飲む前には必ず注意書きを確認し、体調に不安のある場合は医師や薬剤師と相談をしましょう。それ以外の人も、飲み続ける場合は病院で処方をしてもらう方が安心で、効果的な使い方ができます。

○使用上の注意点

  • 長期間にわたって飲み続けるのを避ける
  • 炎症や痛みを放置すると、神経や脳が痛みに敏感になって悪循環がおこるので、NSAIDSなどの薬で炎症や痛みをやわらげることは腰痛改善に有効です。しかし、本来炎症反応は傷ついた部位を修復するためにおこっているもの。いつまでも薬で抑え続けていると根本的な解決ができなくなってしまいます。

  • 市販薬を継続的に使用しない
  • 医師の処方で決められた量を飲む限り、一定の期間使用を続けることは問題ありませんが、市販薬を自己判断で使用する場合、月に10日以上服用しないことがすすめられています

    とくに腰痛は慢性の痛みが多く薬に依存しやすい傾向があるため、継続して飲みたいときは病院で相談の上処方してもらいましょう。

  • 薬だけに頼らない
  • 内臓や神経の病気、骨折などの外傷からおこっている以外の腰痛は、普段の姿勢、腰への負担、筋力や周辺組織の機能低下、太り過ぎなど、生活習慣や年齢による変化がもとになっています。それらの原因を薬で取り除くことはできず、自分自身で地道な生活改善や運動を行う必要があります
    NSAIDSなどの薬はその手助けとして、ひどくなっている炎症や痛みをしずめ、日常生活を過ごしやすくしてくれる存在です。薬を使って楽になってきたら腰痛の原因となっている生活習慣を見直し、薬を減らせる方向を心がけることが大切です。

    ○主な種類

    NSAIDSにはたくさんの種類があり、それぞれ特徴が違います。NSAIDSであっても、腰痛には適応しないとされるものもあります。

    どの薬が合うかは個人差で、医師と相談の上一番いいと判断される薬を選び、その後の効果や副作用の状態を見ながら続けるかどうかを決めていくことになります。
    基本的にはおだやかな作用のものほど副作用も少ないので、最初はおだやかな作用のものから始め、効果が無い場合は強い薬を試すような形になります

    最近は、プロドラッグというタイプの薬があります。プロドラッグは、胃腸を通過し血液内に入ってから作用する仕組みになっていて、胃腸障害をおこしにくいと言われています。

    ○腰痛に適応するとされる主なNSAIS(医療用)

    薬剤名 主な商品名 特徴
    アスピリン アスピリン
    • 歴史が古い
    • 適応が広い
    メフェナム酸 ポンタール
    • 細粒やカプセル、シロップなどもある
    フルフェナム酸アルミニウム オパイリン
    ジクロフェナクナトリウム ボルタレン
    • 作用が強いが副作用も強い
    • 坐薬もある
    アンフェナクナトリウム水和物 フェナゾックス
    • カプセル
    インドメタシン インダシン
    • 作用が強いが胃腸障害がでやすい
    • 坐薬もある
    アセメタシン ランツジール
    • インドメタシンのプロドラッグ
    インドメタシンファルネシル インフリー
    • インドメタシンのプロドラッグ
    プログルメタシンマレイン酸塩 ミリダシン
    • インドメタシンのプロドラッグ
    スリンダク クリノリル
    • 腎障害がでにくい
    モフェゾラク ジソペイン
    エトドラグ ハイペン
    ナブメトン レリフェン
    • 持続性のプロドラッグ
    プラノプロフェン ニフラン
    • シロップもある
    オキサプロジン アルボ
    • 薬が体内に長くとどまる
    チアプロフェン酸 スルガム
    ロキソプロフェンナトリウム水和物 ロキソニン
    • プロドラッグ
    • 鎮痛作用に優れ痛み止めとして幅広く使われる
    • 市販でも手に入る
    ピロキシカム フェルデン
    • 薬が体内に長くとどまる
    アンピロキシカム フルカム
    • ピロキシカムのプロドラッグ
    ロルノキシカム ロルカム
    • 即効性が高い
    メロキシカム モービック
    • 胃粘膜障害が比較的でにくい
    セレコキシブ セレコックス
    • 胃腸障害がでにくい
    チアラミド塩酸塩 ソランタール
    • 作用はおだやか
    • アレルギー反応が比較的でにくい

    ○市販薬の主なNSAIDS

    薬剤名 主な商品名 特徴
    ロキソプロフェンナトリウム水和物 ロキソニンS
    • 医療用のものが市販化された薬
    • 鎮痛効果は高い
    • 薬剤師がいないときは購入ができない
    アスピリン バファリン
    • 鎮痛効果は高い
    • 比較的胃に優しいとされているものの負担はかかりやすい
    イブプロフェン イブA
    セデスキュア
    • 副作用がでにくい
    • 作用がおだやかで効果を感じにくい人もいる

    中枢神経に働いて痛みをやわらげる薬

    アセトアミノフェン(AAP)

    アセトアミノフェンもNSAIDSと同じく鎮痛や解熱の作用がありますが、構造がまったく違い、炎症を抑える強い働きはありません。副作用が比較的少ない分だけ効果が穏やかで、NSAIDSに比べると効果を感じづらい人もいるようです。

    日本では基本的に、腰痛の治療にはNSAIDSが最初に選択されることが多いですが、腰痛の状態や体質、副作用の出方によってはアセトアミノフェンが処方されることもあります。アメリカでは、アセトアミノフェンが腰痛の第一選択になっています。

    ○腰痛に効く仕組み

    中枢神経の痛みに関わる部分に作用し、刺激による痛みを感じにくくします。

    ○向いている腰痛のタイプ

    • 慢性化している腰痛
    • 比較的痛みのおだやかな腰痛

    アセトアミノフェンは炎症を抑える強い働きはないため、急性期の激しい痛みや炎症の強いタイプの腰痛には効きが弱いことがあります。
    炎症がおさまった後にも続く慢性化した痛みや、比較的痛みのおだやかな腰痛には、アセトアミノフェンが第一に試される場合も多くなっています。

    ○主な副作用

    • 肝機能障害
    • ショック症状(呼吸困難・気が遠くなるなど)
    • 皮膚や粘膜の赤い発疹、水ぶくれ
    • 喘息(ぜんそく)発作
    • 肺炎
    • 腎機能障害
    • 胃腸障害

    アセトアミノフェンは比較的副作用のでにくい薬とされていますが、数は少ないながら重大な副作用も報告されています。

    とくに、アセトアミノフェンが配合された薬を重複して飲むと肝機能障害の危険性が高まると言われ併用が禁止されています。アセトアミノフェンは市販の風邪薬などにも多く含まれているので、注意が必要です。

    ○使用上の注意点

    NSAIDSと同じです。上記を参照してください。

    ○飲む前にとくに注意が必要な人

    • 腎臓、肝臓、すい臓、心臓などに持病のある人
    • 喘息(ぜんそく)、アレルギー体質の人
    • 糖尿病の人
    • 他の薬を飲んでいる人
    • 妊娠の可能性のある人
    • 授乳中の人
    • 体力の落ちている人、高齢者
    • 15歳以下の子ども
    • その他、持病や体調に不安のある人

    NSAIDS同様に、アセトアミノフェンも市販薬で販売されています。比較的効果がおだやかで安全性が高いと言っても副作用もあります。薬の注意書きは必ず確認し、不安のある人は飲む前に医師や薬剤師に相談しましょう。

    ○主な商品名(医療用)

    • アセトアミノフェン
    • カロナール
    • ナパ
    • ピレチノールなど

    ○主な商品名(市販薬)

    市販薬は、アセトアミノフェン単体のものは少なく、NSAIDSのイブプロフェンやエテンザミドと同時配合されたものが主流になっています。

    • ラックル(アセトアミノフェン単体・適応の一番初めに腰痛があげられている)
    • バファリンプレミアム(イブプロフェンと同時配合)
    • ノーシンホワイト(エテンザミドと同時配合)
    • 新セデス錠(エテンザミドと同時配合)
    • ナロン錠(エテンザミドと同時配合) など

    痛みを感じる神経の働きを抑える薬

    オピオイド

    オピオイドは、痛みを感じる神経や脳内伝達物質に働きかけ、激しい痛みをやわらげる薬です。

    末期がんの痛みに使われる医療用麻薬もオピオイドの1つです。現在日本では、他の薬が効かず苦痛の大きい慢性の腰痛に対し、オピオイドの使用が認められています。

    非麻薬性と麻薬性があり、麻薬性の方は内服や注射ではなくパッチとテープです。麻薬性の方が痛みを抑える効果は強いですが、その分副作用も強くなります。
    オピオイド使用の際は、医師とじゅうぶんに相談する必要があります。そのため、専門医がいる大病院での取り扱いが多くなっています。

    ○腰痛に効く仕組み

    脳内伝達物質に働きかけ、刺激によって興奮する神経を抑え、痛みをマヒさせる神経系の作用を高めて激しい痛みをやわらげます。

    ○向いている腰痛のタイプ

    • 他の薬が効かず耐えがたい痛みのある慢性腰痛

    ○主な副作用

    • 便秘
    • 不眠
    • けいれん
    • ふるえ
    • ショック症状(呼吸困難・気が遠くなるなど)など

    ○使用前にとくに注意しなければいけない人

    • 腎臓や肝臓や心臓に持病のある人
    • 喘息(ぜんそく)、アレルギー体質の人
    • 薬物やアルコールに依存傾向がある人
    • てんかん発作をおこしたことのある人
    • 妊娠の可能性がある人
    • 授乳中の人
    • 15歳以下の子ども
    • 高齢者
    • その他、持病や体調に不安のある人

    オピオイドは授乳中の人には使えないため、どうしてものときは授乳を中止する必要があります。また、過去に鎮痛薬や精神系の薬でショック症状をおこした人や、アルコールに依存傾向のある人も注意が必要とされています。処方を受けるときは、自分の病歴などを隠さず医師に伝えましょう。

    ○使用上の注意

    • じゅうぶんな説明を受ける
    • オピオイドは効果が高い分だけ副作用の可能性も多くなります。使用前にはメリット・デメリットについての説明をじゅうぶんに受け、納得の上で使用するようにしましょう。

    • 自己判断で止めない
    • 自己判断で使用を急に止めてしまうと、その反動でショック症状がおこることがあります。止めたいときは医師に相談しましょう。

    • 決められた容量を守る
    • オピオイドには依存性があります。決められた容量を守っていれば心配はありませんが、勝手に量を増やすと依存症になる恐れがあります。量を増やしたいときは必ず医師に相談し、指示に従うようにしましょう。

    筋肉をリラックスさせる薬

    中枢性筋弛緩薬(ちゅうすうしんけいせいきんしかんやく)

    腰痛の原因が、腰周辺の筋肉の緊張やこわばりにあるときに使われます。筋肉に指令をおくる中枢神経に作用し、筋肉の緊張をゆるめリラックスした状態にします。
    間違った使用で死亡事故がでた全身麻酔用の筋弛緩薬とは構造が違い、別物の薬です。中枢性筋弛緩薬は肩こりの治療などにも広く使われ、市販薬にも配合されています。

    ○腰痛に効く仕組み

    腰周辺の神経や組織が何らかの不快な刺激を受けると、中枢神経が指令をおくり筋肉が緊張します。その中枢神経の働きを一時的にマヒさせることで筋肉をリラックスさせ痛みをやわらげます。精神の安定効果があるものもあります。

    ○向いている腰痛のタイプ

    • 腰や背中の緊張やこわばりのひどい腰痛
    • ヘルニアや分離症など変形性疾患が原因の腰痛

    ○主な副作用

    • 眠気・だるさ
    • 肝機能障害
    • 胸がドキドキする
    • ショック症状(呼吸困難や気が遠くなるなど)
    • 皮膚の赤い発疹やじんましん など

    ○使用前にとくに注意が必要な人

    • 肝臓・腎臓・心臓に持病のある人
    • 緑内障の人
    • 前立腺肥大の人
    • 高い集中力が必要な職業の人
    • 妊娠の可能性のある人
    • 授乳中の人
    • 15歳以下の子ども
    • 高齢者
    • その他、持病や体調に不安のある人

    中枢性筋弛緩薬は飲み合わせや重大な副作用の危険性が低く、使いやすい薬とされていますが、注意が必要なのはどの薬も同じです。使用中に異変を感じたら医師に報告をしましょう。

    ○腰痛に適応がある主な薬剤名と商品名

    薬剤名 商品名 特徴
    クロルフェネシンカルバミン酸エステル リンラキサー
    • 代表的な筋弛緩薬
    チザニジン塩酸塩 テルネリン
    トルペリゾン塩酸塩 ムスカルム

    ○中枢性筋弛緩薬が配合された主な市販薬

    • コリホグス(抗炎症剤NSAIDSエテンサミドと同時配合)

    血流をよくする薬

    プロスタグランジン製剤

    神経の通り道である脊柱管が圧迫され、腰から下肢への痛みやしびれがおこる脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)が原因の腰痛や坐骨神経痛に主に使われる薬です。

    ○腰痛に効く仕組み

    プロスタグランジンE1という血管をひろげる作用のある物質が働き、血液のとどかなくなった部分への血流を増やし不快なしびれや痛み、歩行困難を改善します。

    ○主な副作用

    • 顔のほてり
    • 肝機能障害 など

    ○使用前にとくに注意が必要な人

  • 妊娠の可能性のある人(服用禁止)
  • 肝臓・腎臓・心臓に持病のある人
  • 15歳以下の子ども
  • 高齢者
  • その他、持病や体調に不安のある人

プロスタグランジン製剤には子宮を収縮させる作用があるため、妊娠の可能性がある人は飲むことができません。

○主な商品名(医療用)

リマプロストアルファデスク、オプチランなど

傷ついた神経の興奮をしずめる薬

神経障害性疼痛治療薬プレガバリン(リリカ)

神経障害性疼痛とは、組織そのものに傷があるわけではなく、痛みを感じる神経の方が傷ついておこる痛みです。
組織の傷は治って痛みはでないはずなのに、神経が興奮していつまでも痛みの信号を出しつづけてしまいます。
腰痛の中にも、帯状疱疹(たいじょうほうしん)後の神経痛など神経疼痛性障害による痛みがあります。リリカは、そのようなタイプの痛みに対して使われる薬です。

○腰痛に効く仕組み

神経を興奮させる伝達物質を抑え、過剰な神経の興奮をしずめて痛みをやわらげます。

○向いている腰痛のタイプ

  • 帯状疱疹に残った腰痛
  • 糖尿病性の神経痛による腰痛 など

○主な副作用

  • 体重増加
  • 目のかすみ
  • めまい
  • 眠気 など

リリカを飲むと体重が増える場合があります。また、目のかすみや視力低下がみられたときは医師に報告をしましょう。めまいや眠気がおこるときもあるので、車の運転や危険な作業には注意しましょう。

○使用前にとくに注意が必要な人

  • 肝臓・腎臓・心臓に持病のある人
  • 妊娠の可能性のある人
  • 授乳中の人
  • 15歳以下の子ども
  • 高齢者
  • その他、持病や体調に不安のある人

リリカは授乳中の人は使用できません。使用する場合は授乳を中止する必要があります。

痛みに敏感になった脳をやわらげる薬

抗うつ薬(SSRIなど)

慢性化した腰痛や、患部の状態のわりに本人の感じる苦痛が強すぎる腰痛に対しては、抗うつ薬が効果を発揮することがあります。脳内にあるセロトニンという物質が減ると痛みを強く敏感に感じるようになることが知られており、抗うつ薬はそれを調整する薬です。

うつ病ではなくても、ケガや病気・体調不良や精神的ストレスが引き金になり、一時的にセロトニンが不足することは、誰にでもあります。

そのため、最近は整形外科分野でも抗うつ薬を使用することが増えています。主に使われるのはSSRIというタイプで、セロトニン以外の物質に作用しにくく副作用が比較的少ない薬です。状態によっては別の系統の抗うつ薬が使われることもありますが、いずれにしてもうつ病の治療よりはずっと少ない量が使用されます。

○腰痛に効く仕組み

痛みの感度に関わるセロトニンの不足を補い、痛みの悪循環を断ち切ります。

○向いている腰痛のタイプ

  • 慢性化した腰痛
  • 他の薬で痛みのとれない腰痛
  • 患部の状態に比べ本人の感じる苦痛が強すぎる腰痛
  • 精神的ストレスが関わっていると思われる腰痛
  • 重い病気やケガの後に残った腰痛

○主な副作用

  • 胃腸障害
  • 眠気・だるさ
  • 幻覚
  • けいれん
  • ふるえ
  • 発熱
  • 肝機能障害

抗うつ薬には様々な種類があり、副作用もそれぞれで個人差が大きい薬です。薬の説明書きをよく読んで、何か気になる症状があれば医師に報告しましょう。

○使用前にとくに注意が必要な人

  • 過去に精神科系の薬でショック症状をおこした人
  • 肝臓・腎臓・心臓に持病のある人
  • てんかん発作をおこしたことがある人
  • 精神疾患の治療歴のある人
  • 薬物やアルコールに依存傾向のある人
  • 高い集中力が必要な職業の人
  • 妊娠の可能性のある人
  • 授乳中の人
  • 15歳以下の子ども
  • 高齢者
  • その他、持病や体調に不安のある人

抗うつ薬の種類によっては、妊娠・授乳中は服用できないものがあります。個人差がありますが眠気や集中力の低下がでやすいので、車の運転や危険な作業に関わる職業の人は注意が必要です。

○使用上の注意

  • 決められた容量を守る

症状の状態によって量を調節できる鎮痛薬などとは違い、一定量を決められた期間飲むことによってゆっくりと効果を発揮する薬です。効かないからと勝手に量を増やしたり減らしたりしないようにしましょう。

ビタミン剤

筋肉や神経の働きに関わるビタミンB群や、血行をよくするビタミンEなどが補助的に使われる場合があります。市販薬には数多くのビタミン配合製剤があります。

ビタミンB12…神経の正常な働きを保つ
ビタミンB1…糖質をエネルギーに変換するために必要。不足すると筋肉痛や関節痛の原因になる
ビタミンE…血行をよくする など

○使用上の注意

ビタミンといっても、サプリや製剤で過剰にとると体に負担がかかることがあります。
成分が重複しないように注意しましょう。

漢方薬

漢方薬は効果に個人差があります。また、即効性がないためしばらく飲み続けないと効果がわかりません。現在、腰痛に効果を感じるケースの多い何種類かの漢方薬が病院でも処方されることがあります。
漢方薬には副作用がないから安心と思っている人もいるかもしれませんが、薬なので副作用は必ずあります。

肝機能障害がおこったり、体質に合わないときにはかえって体調が悪くなったりすることもあるため、薬の注意書きをよく読み、自分自身の体の変化を慎重に見守る必要があります。

妊娠の可能性のある人は服用を控えた方がいいものもあります。もしも飲みたいときは、医師や薬剤師に相談しましょう。

  • 五積散(ごしゃくさん)
  • …慢性で症状の激しくない人の腰痛向け。妊娠している人は控えた方が安心

  • 疎経活血湯(そけいかっけつとう)
  • …幅広い腰痛向け。妊娠している人は控えた方が安心

  • 通導散(つうどうさん)
  • …体力があり便秘がちな人の腰痛向け。妊娠している人は医師と相談

  • 八味丸、八味地黄丸(はちみがん、はちみじおうがん)
  • …疲れやすく冷え性で尿が多かったりでにくかったりする人の腰痛向け。妊娠している人は控えた方が安心

まとめ

腰痛に効くとされている薬の特徴や効果・副作用、注意点をご紹介しました。
骨折やケガ、神経の病気や内臓の病気が原因となっている以外の腰痛は、根本の改善のためには日常生活の見直しが必要です。また、年齢による変化からくる腰痛は、ある程度付き合いながら生活をおくる工夫も大切です。

その助けとして、薬は強い味方になってくれます。しかし、薬だけに頼ろうとして痛みを無くすことばかりにとらわれていると、よけい精神的な苦痛が増してしまうことがあります。

薬を上手く使いながら、日常の生活に腰痛をひどくしてしまうような習慣がないかを見直してみましょう

※参考文献
「今日の治療薬2015/南江堂」
「医者からもらった薬がわかる本第29版/法研」

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