
はじめての妊婦さんが戸惑うのが腰痛。
妊娠初期のつわりは覚悟していても、まさかこんなに腰痛に悩まされるなんて……!
妊娠による腰痛は、骨盤周辺にピンポイントで痛む人もいれば、腰のまわり全体の重い鈍痛を感じる人もいます。
通常、腰痛は整形外科を受診してレントゲンや痛み止めのお薬などを使って治療していくもの。でも、おなかの赤ちゃんのことを考えると、「そんなことをして大丈夫か」ちょっと気になってしまいますよね。
私も妊娠中、歩けなくなるほどの腰痛に悩まされましたが、薬を使わず、ある方法を使って乗り切りました!
ここでは妊娠による腰痛に悩む方へ、私の体験を織り交ぜて妊娠中の腰痛対策をまとめていきます。
私の腰痛、体験談
私の妊娠時の腰痛は酷いものでした。
まず、朝起き上がれない。
朝、布団の中で目が覚めると同時に、腰の鈍痛を感じる毎日でした。
妊娠初期から腰痛に悩まされる日々
それはお腹が大きいから、という原因ではありません。妊娠初期のお腹が大きくなる前から、腰の痛みがあったんです。
お腹に新しい命を宿し、楽しいマタニティライフを過ごすはずが、腰の痛みで一日がはじまり、腰の痛みが続く中で一日が終わる……
歩くのも大変という腰の痛みがあり、産婦人科の担当医に相談したところ、「お腹の赤ちゃんに影響のない薬を服用するという手段もあるから、ムリしないで」と言われました。
薬を使わずに楽になる方法を模索。そして……
でも、どんなに担当医から「大丈夫」と言われても、私は怖くて薬を服用する気になれなくって。ひたすら横になって腰に負担をかけないようにしていました。
薬を使わずに、どうやったら楽になるのだろう……?
私は、毎日の家事や生活の中で、腰を楽にする工夫を重ねてきました。その結果、ちょっとしたコツをつかんで、腰痛も落ち着いてきました。私が会得した日常生活の工夫は後半で詳しく紹介していきます。
ムリは禁物!
妊婦期間は、人生で何回も味わえない貴重な時間。担当医のアドバイスを聞いて、薬を使って痛みを抑えるのもひとつの方法。ムリをするのが、いちばんおなかの赤ちゃんに良くないです。
これを読んでいるあなたには、少しでも腰の痛みをやわらげて、楽しいマタニティライフ過ごしていただければと思います。
妊婦が腰痛になる原因は?
さて、そもそもどうして、妊婦は腰痛になってしまうのでしょうか?
妊婦が腰痛になる原因は、実はそれぞれの時期によって異なります。
妊娠初期、妊娠後期、妊娠期全般と分けてみていきましょう。
妊娠初期
妊娠初期の腰痛の大きな原因は、ホルモンバランスの変化が関係しています。私の腰痛は、まさにコレでした。
妊娠すると、つわりが始まったり、ひどい眠気に襲われたり、急に嗅覚が敏感になったりと体の異変が起こりますよね?これらは、すべて妊娠のためのホルモンバランスによる変化なのです。
妊娠中は、プロゲストロンやエストロゲンなどいろんなホルモンが大量に分泌されますが、その中でも腰痛に関係しているのは「リラキシン」というホルモン。
このホルモンは、お腹の赤ちゃんが出産時に備えて、母体の骨盤を緩めていく作用があります。この骨盤の緩みが、上半身を支える腰に負担をかけてしまうんですね。
妊娠後期
妊娠後期の腰痛の多くの原因は、体型の変化です。
お腹が大きくなるにつれて、歩く時だけでなく、ただ座っているときも姿勢が変化します。おなかが重くなる分、少し重心が前に移動してしまうんですね。
そして、重心が前にあることで、骨盤や腰椎も前へと傾き、これが腰痛を引き起こします。
妊娠中全般
実は、心理的負担が腰痛を引き起こす場合もあります。
心因性腰痛というのですが、心理的な負荷が妊婦の体に緊張を与え、余分な力を入れさせてしまうのです。
経産婦でさえ、毎回の出産はドキドキするもの。まして、はじめての妊娠・出産であれば、さらに不安や心配も多いですよね。
出産時の痛さや、出産後もきちんと母親が自分にできるのか……など、すぐそこの見えない未来は、楽しみもあれば不安もいっぱいです。
ストレスが溜まると胃が痛くなったり、頭痛が起きたりしませんか? それと同じように、ストレスから腰痛が引き起こされることがあるんですね。
妊娠中の腰痛暖和対策
ホルモンバランスや変化する体型等の原因で、妊婦中ならほとんどの人が経験する腰痛。でも、日常生活で気をつけていれば辛い痛みをやわらげることもできます。
骨盤ベルトの着用
妊娠によるホル.モンバランスの変化で骨盤が緩みがち。歩く度に骨盤の痛みを感じることも……!
「骨盤ベルト」は、骨盤を固定することでその痛みをやわらげてくれるアイテムです。
有名なもので「トコちゃんベルト」があります。
これは、妊娠初期から出産後まで、腰をやさしくサポートしてくれる優れもの。
症状によって使うベルトがタイプ別になっているので、自分の腰に合ったものを選びます。腰痛なら、トコちゃんベルトIIですね。
商品名 | 対象 | 特徴 |
トコちゃんベルトI | 恥骨結合にゆるみがある人(恥骨結合離開)向け |
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トコちゃんベルトII | 腰痛、おしりや尾骨の痛みに対応 |
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トコちゃんベルトIII | 普通の骨盤ベルト 産後に使用 |
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「お腹の赤ちゃんを締め付けないの?」という心配がありましたが、これはお腹を下から支える形になっているので赤ちゃんに影響はありません。
トコちゃんベルトは一日中ずっと着用していなければいけない、というわけでもなくって、寝るときは外してもOK。ただ、日中は(起き上がっているときは)なるべくつけているようにします。
仕事でイスに座っている時間が長いと、太もものに食い込んできてしまい痛くなってきます。そのときは、ベルトを少しゆるめにしたり、イスに浅めに座ると痛みが楽になりますよ。
<トコちゃんベルトの付け方のコツ>
- ① 素肌の上に腹巻きを巻く
- ② トコちゃんベルトをする
- ③ ショーツを着用する
この順序で着用すれば洋服の下にベルトをしていても違和感ありません。腹巻きがあると、着用時の蒸れ対策にもなります。
妊娠時の腰痛は、腰の痛みだけ直せば良いのではありません。お腹の赤ちゃんに影響のないように考慮しながら腰をいたわる必要があります。
できれば薬に頼ることなく出産までいきたいですね。
ここからは、日常生活で避けられる腰痛の原因と、その対策をまとめておきます。
重い物を持たない&持つときは膝をついてから
重いものを持つことを、極力ひかえましょう。
とはいえ、上の子がまだ小さかったり、スーパーでお米を買って帰ったり……妊婦といえども、重いものを持つ必要があるときもあります。
どうしても重いものを持ち上げないといけないときは、腰だけに重心をかけるのではなく、体全体で持ち上げるイメージで荷持を持ちます。
たとえば、上の子供を抱えるときは、片膝をついてゆっくりと持ち上げるようにします。お米等を持ち上げるときも、かがんだ状態のまま持ち上げず、一度腰を落としてから膝をついて立ち上がるようにします。
重い物を持ち上げる作業で、膝をつける環境なら、このように膝をついて荷持を持ち上げましょう。腰への負担は大幅に減ります。
妊婦さんはお腹を守る意識は働くけれど、腰を守る意識はすぐに忘れてしまいがち。腰への負担、減らしていきましょうね。
横になるときはクッションや抱き枕を使う
横になる際は、抱き枕を使うと楽です。
抱き枕がなければ、クッションや二つ折りにした座布団をお尻の下に敷いて子宮を高い位置に置くだけでも、子宮が上にあがって腰まわりが楽になります。
ただ、こうすると少し腰を反る形になるので、赤ちゃんへの影響が不安な場合は、先ほど説明した骨盤ベルトの「トコちゃんベルト」を利用すると安心です。
腰に優しい家事の仕方
家事をするときにも腰に気を付けていきたいです。
ポイントは、なるべく、腰を曲げる回数や時間を少なくできるような工夫をしていくこと。
- かがんだり、しゃがんだりすると立ち上がる際に腰に負担がかかってしまうので、掃除機を使う時はかがまずに歩く姿勢に近い形で掃除をする
- 立っている時間の多いキッチンでも両足を少し開き、左右のどちらかの足を少し前方に出して立つ
- 立たなくてもよい作業のときは、なるべくイスに座る
ちょっとした違いですが、腰への負担を減らすことで腰の痛みも少し楽になりますよ。
腰に優しい靴を選ぶ
妊娠中は転ばないように、低めの靴を履きますよね?
転ばないようにスニーカーを履く人も多いですが、2〜3cmほどかかとに高さのある靴を履くと背中への負担を少なくなります。
その際は、中敷きでかかと部分に高さをつけるのも良いです。
妊娠中の腰痛ストレッチ(エクササイズ)
妊娠中の腰痛症状に効くストレッチで、有名な猫のポーズ。
猫のポーズはヨガでも取り入れられている、簡単にできるエクササイズです。
猫のように背中を反ったり丸めたりして、腰の筋肉を和らげます。
やり方はカンタン2ステップ
②息を吸いながら背中を反らしていきます。
これを繰り返すだけ!
私はこれを寝る前に3呼吸分くらいやってました。ゆっくりと呼吸しながらストレッチしていると、リラックスできるので、
マタニティスイミング、マタニティ・ヨガに通う
マタニティスイミングやマタニティ・ヨガも腰痛改善に効果があります。
近年はマタニティフィットネスの必要性が全国的に広がっているので、都心部に限らず見つけられるはずです。
こういった教室は、自分でプールやジムを探して通うのではなく、産婦人科で直接開いている教室や紹介のあるところに通った方が安心。
病院で定期的に行われるマタニティ教室で開催の案内があったり、産婦人科の窓口に市内でマタニティフィットネスのできる箇所の案内が置いてあります。
マタニティスイミングやマタニティ・ヨガの教室に火曜には、腰痛に効果があるだけでなく、ママ友ができたり、自分のリラックス効果にもつながるというメリットもありますよ。
整体院、鍼灸院へいく
妊婦の腰痛をやわらげる施術をしている整体院や鍼灸院もあります。
施術の際は、妊娠中であることを伝えましょう。
整体院の場合、固めで小さいベッドに横になれることが前提になります。15~30分くらいのマッサージが良いでしょう。
妊婦さんでも利用できる整体院は、Google で「(地域名) 整体 マタニティ」もしくは「(地域名) 整体 妊婦」と検索すると探せます。
蒸しタオルで腰を温める
腰痛の対策として、蒸しタオルで腰を温めるのも効果的です。じんわりと温めていると、痛みがやわらぎ、ホッとしますよ。
薬を服用するわけでもないので安心ですし、おうちですぐに実行できます。
同じ腰を温める手段として湿布もありますが……これは、妊婦にはちょっと注意が必要。インドメタシン配合の湿布は、妊婦は使っちゃダメなんです。安易に湿布は使わないようにしてください。
妊娠中の湿布については、詳しくは「腰痛に効く薬とは?特徴と効果・副作用・注意点のまとめ」ページを参考にしてください。
お風呂で温まる
そして、最後はコレ。腰痛にはお風呂でじっくり温まるのが基本中の基本。リラックスできますしね。
ストレスや不安による体の緊張から腰痛も起きるので、お風呂の精神的リラックス効果はあなどれません。
冬の寒さだけでなく、夏の冷え対策も大事。普段から冷えない生活を心がけていきましょうね。
歩けないほど痛いのなら、坐骨神経痛の可能性も
腰痛がひどくて、歩けないほど痛いし、立っていても座っていても痛い……それは、坐骨神経痛かもしれません。お尻や足までがしびれてくるのが坐骨神経痛の症状です。
妊娠中の坐骨神経痛について詳しくは「坐骨神経痛になった妊婦さんへ」記事も参考にしてください。
まとめ
妊娠するとお腹の赤ちゃんへの影響から、必要以上に慎重になってしまう傾向があります。
妊婦という時点で精神的に不安定なのに、余計な心配はしたくないです。
妊婦の腰痛は一気に和らぐものではありませんが、
- ベルト等のアイテムを使用する
- 重いものを持つときは膝をついて持ち上げる
- 立ち仕事を減らす
- マタニティ・ヨガや整体などを利用する
- 体を温める意識をする
など、日常でできる対策はあります。
マタニティライフを安心して、お腹のあかちゃんに話しかけながらゆったりした時間を過ごすのも今しかできない経験です。
無理のない範囲で痛みをやわらげる対策をし、我慢の少ない妊婦生活を送りましょう。