治らない腰痛の原因は心かも?『心因性腰痛』の仕組みとケア

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座りっぱなしの仕事、重たい荷物の持ち過ぎ、椎間板ヘルニア、体型や姿勢によるもの・・・・・・。腰の痛みの原因には、様々なものが考えられます。

腰を痛める原因が自分で思い当たるときや、整形外科や整体院で原因を指摘されるようなケースは、対処方法の情報も探しやすいものです。

けれど、、、

  • どこに行っても原因がわからない
  • 原因のわりに感じる痛みが強すぎる気がする
  • 様々な治療を受けてもなかなか改善されない

そんな人はいませんか?

その場合の腰痛は、心から発信されたストレスのサインかもしれません。

心に抱えた何かが腰痛をおこす。

まさかそんなことが・・・・・・と思うかもしれませんが、けっこうな人が経験をしているのです。
かくいう私も、その中の1人。

「私は前向きな性格で悩みもないし、心因性なんてありえないわ」と、スルーしかけたあなた。
心因性腰痛は、実はそういう人にこそおこりやすいのです。

その仕組みや症状の特徴、器質性腰痛との関わりや見分け方、ケア方法までをご紹介しますので、参考にしてみてください。

心因性腰痛の仕組み

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人気女流作家も経験した心因性腰痛

作家の夏樹静子さんをご存知でしょうか。慶應義塾大学在学中に脚本家デビュー、結婚後母になってから書いた小説が注目を集め、そこから人気推理小説作家に。
旦那様は新出光社長の出光芳秀さん。知的で美しい風貌でも知られ、まさに女性の欲しいものを独り占めしているかのような方です。

しかし、順風満帆だった夏樹さんの人生を、一気に暗転させるような悲劇が襲うのです。
それは、のたうち回るほどの腰痛。
作家という職業上、ある程度の腰痛はやむを得ませんが、そんなレベルのものではありません。何をどうしても痛い。椅子に座るのが怖い。

夏樹さんは、ありとあらゆるツテをたどって、一流と名高い病院や高額な治療院をめぐって腰痛を治そうとします。

けれど、どんな名医も治療家も、薬やサプリメントも、その痛みを癒してはくれません。
夏樹さんは、ついに自殺を思いつめるほどに。

そんな彼女が最後にたどり着いたのが、九州大学医学部付属病院の心療内科。
始めは、「自分とても充実して悩みもない。心因性の腰痛なんてありえない」と抵抗するのですが…

治療の中で夏樹さんは、自分自身が無意識のうちに強いプレッシャーや負担を抱えていたことに気づき、最終的に腰痛は姿を消すこととなりました。

心因性の腰痛であったことが証明されたのです。

この話は、夏樹さんの著書「腰痛放浪記~椅子がこわい」(新潮文庫)で詳しく書かれています。
興味のあるかたは、ぜひ一読ください。

心因性の痛みは珍しくない

夏樹静子さんのケースは極端ですが、無意識に抱えた怒りや不満を自覚できないとき、身体の痛みとなってあらわれることはそう珍しいことではありません。

痛みが出る場所は腰だけとは限らず、肩や首や頭、お腹や足と人によって様々。
中には全身の疼痛に悩まされ病院や治療院を転々とし、結局は心療内科で治療を受けて良くなった…という人も。

ここまで読んでみて、「私は前向きな性格だし、心因性なんて、ないない」そう思ったあなた。
始めにも書きましたが、そういう人にこそ、心因性の痛みはおこりやすいのです。

その理由を見ていきましょう。

ストレスは無自覚なほど心身を蝕む

ストレスは身体に良くない、と盛んに言われていますよね。
しかし、自分自身が「これがストレスだ」と知っている場合、そのストレスはそれほど深刻なダメージを身体に与えていないのではないかとする説も。

それよりも問題なのは、ストレスを自覚できていないとき。
本当は何かに怒っていたり不満を感じていたりするのに、そういう気持ちを無意識に抑えこんでしまう人はけっこう多いものです。

意識できないままのストレスは発散させることができず、それが溜まり過ぎると心身の健康に悪影響を及ぼしてしまいます。

そこで身体が代わりに痛みをおこして、心に何らかの問題があることを知らせようとします。

いつもくよくよと悩んでいたり、泣いたり怒ったり愚痴を言ったりしている人は、それなりにストレスが自覚されて外に吐き出されるので、痛みを身体に転換させる必要がありません。

しかし、常にポジティブで我慢強い人は、無意識のストレスを溜めこみやすく、身体の方に痛みがおこる可能性は高くなってしまうのです。

痛みに対する脳の反応

痛みの目的は、心の危機を知らせることです。しかし脳は、それに気づかないようにします

例えば「自分はどんなときでもポジティブ!」と信じている人の場合、怒りや不満を持っている自分を認めるわけにいきません。
認めてしまうと、これまでに築き上げたポジティブな自分が崩れてしまうからです。

そこで脳は、「この痛みは絶対に器質的な原因があるはずだ」と、痛みの理由を他に求めようとし、意識を心から背けていきます。

そうすると心は、ますます自分の危機を訴えようと痛みを強め、悪循環で症状が悪化してしまうのです。

心因性腰痛と他の腰痛の関連

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心因性腰痛と器質性腰痛の関わり

心因性腰痛についてここまで書いてきましたが、もちろん腰痛の原因はそればかりではありません。

アメリカの学者の間では、「腰痛の原因はすべてが心因性だ」と主張する意見もありますが、それは少し極端ではないかと思います。

私自身も、心の問題からおこる腰痛や疼痛を経験し、今はだいぶ良くなっていて、心と腰痛の関連の深さを実感しています。
しかし、先天的な股関節の歪みや負担のかかりやすい骨格、体質的な血行障害など、心の問題が解決しても無くならない痛みの原因を抱えています。

なので、現在も腰痛もちではありますが、心因性の部分が取れると、痛みの質が変わりました。
耐え難かった痛みが付き合える範囲になり、腰を労わりながらも日常生活ができ、それについて特に悩まなくなりました。

以前は、腰痛にいいと言われている体操をしても、マッサージをしても、お風呂に入っても、何の効果も感じませんでしたが、今はそのような対策で痛みはやわらぎます。

心の問題は、器質性腰痛の痛みを増幅させる原因にもなっていたというわけですね。

腰痛の原因がわかっていて、色々対策や治療をしても良くならない…という人は、心の方にも問題がないか、少し意識を向けてみるといいかもしれません。

心因性?器質性?どう見分けるか

心因性腰痛には、いくつか特徴がありますので、それをご紹介します。

  • 痛みの場所、痛み方が時によって変化する
  • 姿勢によって痛みが緩和されない
  • 「これは心因性の痛みかもしれない」と口に出してみると、痛みに変化がおこる

骨格や疾患や使い痛みが原因の器質性腰痛の場合、痛む場所や痛みの出方はある程度一定です。

しかし、心因性腰痛の場合は、痛む場所が転々としたり、ある時はじんじん、ある時は激痛などと痛み方がバラバラであったりすることがあります。

また、器質性腰痛では、腰を丸めると楽になるとか、伸ばした時が特に痛いとか、姿勢との関連に法則がありますが、心因性腰痛ではそれが曖昧です。
何をどうやっても痛い、どこがどう痛いのかがよくわからない、そういう表現になるケースが多いのです。

そして、一番の特徴は、「これは心因性かも…」と言葉にしたとき、何らかの反応がおこるということです。
それを全面的に否定したくなるような嫌な感じが湧いてくるとか、痛みが強まる、または反対に痛みが緩むなど。

脳は、その痛みが「心因性のものなんかはない」と意識をそらさせようと抵抗するので、身体や心の中に「何らかの嫌な反応」がおこるのです。
ただ、中には何も反応しないことでそれをごまかそうとする優秀な脳もありますから、一概にそうとばかりは言えません。それでも、1つの参考にはなります。

もちろん、他にも腰痛の原因はあります。こちらの記事も参考にしてください。

心因性腰痛の治療とセルフケア

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専門に扱うのは心療内科

さて、自分の腰痛がもしかして心因性かも…となったとき、気になるのは治療法ですよね。

夏樹静子さんの場合は、九州大学医学部付属病院で本格的な治療を受けたわけですが、軽度の人はそこまでする必要はありません。

確かに、心因性による腰痛や全身の疼痛を治療するのは心療内科が専門です。
ただ、比較的よくあるケースなので、大学病院クラスでなくとも治療することは可能です。
いい医師であれば、個人のクリニックでも十分対応してくれます。

いい医師を見分けるポイントは、

  • 初診でゆっくり話を聞いてくれること
  • 薬を出す場合にちゃんと説明してくれること
  • こちらの不安や疑問に答えてくれること

大して話も聞かず、説明もせずに薬だけを出す医師は避けた方がいいでしょう。

また、心療内科に行く前に、一般的な内科や整形外科の検査は終わらせておく方がベター。
心因性の痛みだと思い込んでいたら、実は背中の骨が圧迫骨折していた…なんて患者さんもいたそうです。

腰痛は、内科・婦人科的な疾患が原因となるケースもありますので、そちらの可能性が除外された後に心療内科を受診すれば安心ですね。

検査設備を兼ね備えた大病院の心療内科の場合は、そこで検査してくれることもありますので、事前に確認しておくといいでしょう。

病院以外でできるセルフケア

病院はちょっと抵抗がある、薬は使いたくない、行きたくてもなかなか時間が取れない人のために、自分でできる対策をご紹介します。

1.「これは心因性の痛みかもしれない」と意識して過ごす

上に書いた通り、脳は心因性であることを隠そうとしますが、それに引きずられてしまうといつまでも痛みは良くなりません。
ですので、痛みが出たら、「これは心がおこしている痛みかもしれない。私の心は何かを訴えたがっているのかもしれない」と意識してみましょう。

2.日記をつける

痛みがあると、どうしてもそのことばかりに気を取られてしまいます。そうなってくると、心の問題を隠そうとする脳の思うつぼです。

そこで、痛み以外の事柄を書いてみる習慣をつけましょう。

このときのポイントは、痛みのことに触れないようにすること。
症状から離れて、実際に起こった出来事、仕事や人との関わり、自分自身が感じたことなどに思いをめぐらして書いてみてください。

一言でも、二言でも、何も浮かばなければ「何も浮かばない」でも、「今日のご飯は美味しかった」でも、とにかくなんでもいいのです。難しく考える必要はありません。

痛み以外の日常や自分自身の感覚を見ることが重要です。

3.犯人さがしをしない

心因性の痛みを意識することで注意したいのは、「原因となるストレスが何か」と無理に探さないことです。
ストレスを意識できないのには、それなりの事情があるはずです。
そこを無理やりに突っ込もうとすると、かえって心理的な負担がかかってしまいます。

具体的な何かを探すより、「自分の心は苦しんでいるのかもしれない」と、優しい気持ちで思いやってあげる方が大切です。
自分自身が傷ついて疲れているとき、「何があったの?」としつこく聞かれたら辛いですよね。
それよりも、「何か辛いことがあったんだね。話したければ聞くけど、無理はしないでいいよ」と言ってもらえた方が心は癒されます。

4.痛んでいる場所に手をあててみる

痛みが辛いと、それを何とかしようとして、マッサージやハリに行ったり、そこを叩いたりしてしまいがちですが、まずは自分でそっと手を当ててあげましょう。
手当てという言葉があるように、それだけでその部位の緊張がゆるみ、血行が良くなると言われています。

5.大好きな何かを思い浮かべる

私は、これが一番効きます。
あなたの大好きな…なんでもいいです。人、動物、風景、楽しかった思い出。
自分の身体が一番緩むものを探してみましょう。
きっと、あなただけの特効薬が見つかると思います。

まとめ

腰痛の原因の1つとして考えられる『心因性腰痛』についてご紹介しました。

ポイントをまとめますと、

  • 心因性でおこる身体の痛みはめずらしいことではない。
  • 前向きな人ほど、ストレスが無自覚であるほどおこりやすい。
  • 器質性腰痛の痛みが心の問題で増幅することもある。
  • 治療は心療内科で行うが、セルフケアでも改善はできる。

原因が心因性にしろ、器質性にしろ、腰痛は辛いですよね。
しかし、痛みはあなたの心や身体がおこしている大切なサインでもあります。

痛みを敵視してつぶそうとするのではなく、「何かを知らせてくれる存在」と優しい気持ちで接すると、苦痛がやわらぐことが医学的にも知られています。

ぜひ試してみてください。

(すきっと編集部/寺山)

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